雨水貯留浸透+緑化=グリーンインフラ(環境配慮設計に役立つ新たな「雨水処理」と「雨水活用技術」)

近年、都市型豪雨(いわゆるゲリラ豪雨)による被害が増加しています。日降水量100mm 以上の日数が増加していることからも、これからの街づくりにおいて豪雨対策は避けて通れないテーマとなっています。
そんななか、都市型豪雨対策に都市緑化を活用する「グリーンインフラ」が注目を集めています。本ページでは、緑を用いた新たな LID(Low Impact Development)/環境配慮設計 の手法について特集します。

グリーンインフラとは

都市化の発達と共に、地上部はコンクリートやアスファルトで覆われ、雨水のほとんどは直接下水管に流されています。日本では大型開発の現場において雨水貯留対策が義務化されていますが、これまではプラスチック等を用いた貯留槽が一般的でした。これらグレーインフラに代わる新しい方法として「グリーンインフラ」が海外では主流になりつつあります。

街の公園で見られるプラスチック雨水貯留施設街の公園で見られるプラスチック雨水貯留施設

シカゴにおけるグリーンインフラ事例シカゴにおけるグリーンインフラ事例

グリーンインフラは、
緑をあらわす「Green」
社会基盤をあらわす「Infrastructure」による造語です。
辞典では「都市計画において、天候・土壌・植物など自然のはたらきを積極的に活用して道路や施設などをつくること(出典:デジタル大辞泉)と記されています。

私たちは緑化の1つの価値である「景観の美しさ、癒し」といった感覚的な捉え方からさらに一歩進めて、「グリーンそのものが明確な機能をもっていて、最終的にそれが価値として評価できる緑」を指していると解釈しています。

アメリカでは、連邦環境保護庁(EPA)が主体となって、水循環プロセスを取り込み、人工的に緑化などを推進する雨水管理を核としたグリーンインフラを推進しています。長年洪水対策を行ってきたニューヨーク市では、2010年11月に『NYC Green infrastructure plan 』を発表しました。それはグリーンインフラストラクチャーとして街路樹、空隙に富んだ舗装や道路、保水性に富んだ屋上緑化、そして緑化を使った豪雨コントロール手法などを使うことで、洪水対策を実践しようとする新たな取り組みです。

緑化やそのための基盤土壌は水質や大気質を改善するとともに、冷房のためのエネルギー使用量と温暖化ガスの排出量を削減でき、資産価値を高めると同時に、我々のコミュニティを美化することにも役立ちます。

日本でも利用可能なグリーンインフラ技術

日本においても都市部における集中豪雨が増えている背景のなか、下水管の集水を主体とする従来の土木的雨水対策手法(グレーインフラ)では、近い将来に許容量を超えてしまう可能性が高いと言われています。そこで都市部にある緑地化が可能な校庭・競技場・屋上・歩道(街路樹)・広場・建築物外構と  いった場所を活かし、緑を用いて雨水を一時貯留することでグレーインフラを補完する「グリーンインフラ」の取り組みがはじまっています。

従来型の人工物による雨水対策 従来型の人工物による雨水対策

自然の水循環に基づいたグリーンインフラ活用の雨水対策自然の水循環に基づいた
グリーンインフラ活用の雨水対策

<日本におけるグリーンインフラの目的>

  • 都市型集中豪雨対策として雨水の下水管への遅延を、植栽基盤を利用した実践
  • 雨水の自然な循環により緑豊かで冷える街づくり(冷却効果)の実現
  • 健全な樹木の育成で大きな樹冠(緑陰)をつくり、地表面温度の上昇を抑制

そのなかでも雨水を貯留浸透できるだけでなく、その貯留浸透槽自体が植栽基盤と同様の機能を持ち、植物や樹木の根を誘引して生育を支え、同時に蒸発散作用を通して大気を冷却することができる新たなグリーンインフラ技術『高空隙・目詰まり抑制貯留浸透基盤材(J・ミックス)に関心が高まっています。

環境と景観に良い影響を促せるこの工法、雨水を一時貯留する空隙に根を伸長させ、植物の蒸発散作用を活用して「冷える安全な街づくり」を可能にするところが大きなポイントです。単粒度の礫の間に良質な生育助材が存在することで、根が伸長し生育が良好になることを生育実験においても確認しています。

定植4年4ヶ月後のクスノキの根 J・ミックスと再生砕石のみで比較

J・ミックス(雨水貯留浸透槽)への
根の伸長状況

左:再生砕石と腐植の付着で根がみごとに生育。
右:再生砕石のみでは、根の伸長はみられない。

■グリーンインフラ実現のための工法は2種類です。

1) J・ミックス工法

貯留槽に根を誘引する手法貯留槽に根を誘引する手法

再生砕石に腐植をコーティングした基盤材を活用します。雨水の貯留・浸透槽として利用できると同時に、植物の根を誘引して植栽基盤としても活用できます。グリーンインフラを安価に実現する方法です。 J・ミックスは空隙率41%を実現できます。単粒度4号砕石の空隙率は30%~35%ですので、約1.4から1.2倍の貯留率を有しています。

2) グリーンアクアミックス工法

軽量骨材に腐植をコーティングした基盤材を活用します。主にJ・ミックス工法ではカバーできない人工地盤、滞水地盤、オリフィス構造浸透槽などに使用します。特殊な地盤向けの工法です。

<歩道下を雨水貯留浸透槽と同時に高木の植栽基盤として活用>

J・ミックス槽内の水分を樹木の根が吸収し、葉からの蒸散作用で周囲を冷やします。水の貯留浸透と同時に街路樹の根を誘引して、生育と同時に根上がり防止効果を発揮させることができます。

<建築物周辺の雨水貯留浸透の使用例、雨庭の下地材に活用>

J・ミックスを建築物周囲の地下貯留浸透基盤材として利用すると、単粒度砕石4号 (空隙率30%) に比べて、使用ボリュームを約70%に減らせるなど、多くのメリットを有します。

<プラスチック系雨水貯留浸透槽の機能強化>

軽量骨材に腐植をコーティングした基盤材を活用します。主にJ・ミックス工法ではカバーできない人工地盤、滞水地盤、オリフィス構造浸透槽などに使用します。特殊な地盤向けの工法です。

<「校庭・競技場」を活用した雨水貯留手法 >

芝生用の耐圧基盤土壌「グラスミックス」(A層)/高空隙な「雨水貯留浸透基盤材」(B層)

透水、保水性能を併せ持つ芝生用の耐圧基盤土壌「グラスミックス」(A層)と高空隙な「雨水貯留浸透基盤材」(B層)の併用は、雨水の一時貯留空間としても活用することができます。

雨が降った後も一時間以内でグラウンド使用が可能になるところも大きな特長です。

※「J・ミックス工法」ならびに「グリーンアクアミックス工法」は、
出荷対応ができないエリアがございます。詳細については直接お問合せください。

2014年5月「雨水の利用の推進に関する法律」が施行されました。今後ますます「雨水が流出しにくい街づくり」が求められていくものと思われます。

雨水を貯留浸透できるばかりでなく、その貯留浸透槽自体が植栽基盤と同様の機能を持ち、植物根を誘引して生育を支え、同時に蒸発散作用を通して大気を冷却できる新たな技術が広がりはじめています。

環境配慮設計をご検討中の方、これまでのグレーインフラ(プラスチックやコンクリート)技術以外の選択肢をお探しの方、安価な手法で雨水対策のコスト低減を行いたい方などがいらっしゃいましたら、最新技術をとりまとめた資料をお送りいたしますので、以下の問合せフォームよりご連絡をお願いします。

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